計算尺と二進数そろばんの作り方
★掛け算を足し算で計算できる不思議な対数積み木
茨城県つくば市のつくばエクスプレス「つくば駅」から徒歩5分のところに「H2ロケット」の実物大模型が一際目を引く科学館「つくばエキスポセンター」があります。 館内には大掛かりな展示物が数多くありますが、その中のうっかりすると見落としてしまいそうなくらい目立たない一角に、計算尺の原理を対数積み木を使って解説するコーナーがあります。 そのコーナーにある積み木にはそれぞれ数字が書かれていて、その数字の積で別の積み木と長さが揃うように作られています。たとえば、2の数字が書かれた積み木と3の数字が書かれた積み木を横にして並べると、6の数字が書かれた積み木の長さに等しくなり(6=2×3)、2の数字が書かれた積み木を三つ並べると、8の数字が書かれた積み木の長さと等しくなる(8=2×2×2)というものです。 ちょっと不思議に見えますが、これは対数という数の考え方で表した数値を長さに置き換えています。対数は高校で習うので、小学生や中学生のみなさんにはちょっと難しいかもしれませんが、これは、対数の基本公式(log a XY = log a X + log a Y)を利用しています。 計算尺も、この対数の性質に基づいて作られています。イメージしやすいように下に簡単なものを作ってみました。
★対数を利用したアナログコンピュータ - 計算尺 - 「そろばん」は知っていても「計算尺」は知らないという子供たちは結構多いのでないでしょうか。 ましてや計算尺の実物を見たり手にしたことのある子供たちはほとんどいないでしょう。 「そろばん」はいわゆるデジタル計算機で、「計算尺」はアナログ計算機に分類されます。 その昔、計算尺は科学技術計算をするエンジニアたち必携の道具だったのですが、関数電卓の出現により急速に姿を消してしまいました。 計算尺は様々な関数値の対数を計算して、その比率を目盛として固定尺や滑尺に配置したものです。 対数自体は、1614年にスコットランドのジョン・ネイピアによって考案されました。 現在の計算尺のように複数の尺をずらして計算する形のものは、1632年にイギリスの数学者ウィリアム・オートレッドにより発明されました。 計算尺は「固定尺」「滑尺」「カーソル」の3つのパーツから構成されています。 滑尺は固定尺に上下から挟まれていて、名前の通り左右に滑らせることができるようになっています。 計算尺と言えば、かつては「ヘンミ式」と呼ばれていた白く塗られた竹製の計算尺が有名でしたが、残念ながらヘンミ計算尺株式会社は、現在竹製計算尺の販売は行っていません。 「計算機の部屋」では、いまや絶滅寸前のこの計算尺をペーパークラフトにしてみました。 ペーパークラフト計算尺の作成に必要なものは、A4の厚紙(名刺用紙がベスト)とハサミまたはカッター、定規、セロハンテープ、赤ボールペン等。作り方はペーパークラフト計算尺の展開図(PDF)をご覧下さい。カッター等の工具の使い方はこちらを参考にされると良いでしょう。 ●ペーパークラフト計算尺の展開図をダウンロード ★計算尺の簡単な使い方 ペーパークラフトの計算尺には、左側にアルファベットの「A」「B」「C」「D」「K」「L」「CI」が書かれていますが、とりあえず「掛け算」と「割り算」に使用する固定尺の「D」と滑尺の「C」を使って説明します。 「D」と「C」は、それぞれ「D尺」、「C尺」と呼びます。 また、それぞれのスケールの目盛は、「C尺の2」などと言います。 固定尺の「D尺」は動かしません。挟み込んだ「C尺」とそれらを束ねる「カーソル」を左右に動かします。 実際の掛け算(2×3)を例にすると、「D尺の2にC尺の1を合わせ、C尺の3にカーソルを合わせ、そのすぐ下にあるD尺の目盛を読む」という作業になります。 【計算の仕方(掛け算)】 では、計算尺を使って簡単なかけ算をしてみましょう。まず「2×3」をしてみます。 最初にD尺の2にC尺の1を合わせ、C尺の3にカーソルを移動し、すぐ下にあるD尺の目盛を読みます。 どうでしょうか、答えは、2×3=6になりましたか? では今度は「2.1×3.2」をやってみましょう。 答えは、2.1×3.2=6.72ですが、先ほどと同じ手順でD尺の目盛を見ると...6.72?...6.73? このペーパークラフトの計算尺は一番細かい目盛りで0.05単位なので、答えは概算になります。 一般的な 30cmぐらいの計算尺でも、一番細かい目盛りはおそらく0.02単位程度だと思います。 そう考えると計算尺は「計算機」と呼ぶより「概算機」と呼ぶほうが正しいのかもしれません。 【計算の仕方(割り算)】 今度は計算尺でわり算をやってみましょう。では、3÷2をやってみたいと思います。 まず、D尺の3にC尺の2を合わせ、C尺の1にカーソルを移動し、すぐ下のD尺の目盛を読みます。 どうでしょうか、答えは、3÷2=1.5になりましたか? これは先ほどの掛け算とちょうど逆の作業になります。 もっといろいろ計算尺で計算してみたい方は、同じ要領で小数点同士の割り算にも挑戦してみてください。 計算尺ではこれらの計算を連続的に行うこともできます。 計算尺のこのほかの使い方についてもっと詳しく知りたい方は下記リンクを参考にしてください。 ●計算尺推進委員会 ★二進数が目で見て学べる - 二進数そろばん - 通常そろばんは、梁(はり)の上に一つ、下に四つ珠 (たま) がありますが、この「二進数そろばん」 の珠は一つだけです。 上部右の枠内にある三角形(▼)は2の0乗(ビット0)の位置です。その左隣は2の1乗(ビット1)その左隣は2の2乗(ビット2)…と、2の7乗(ビット7)まで0~255の256個の数字(1バイト)を表現できます。 1ビットは2進数の1桁に相当します。4ビットを一まとめにして16進数の1桁に相当し、これをニブル(Nible)といいます。 この4ビットの区切りの位置が上部枠中央の赤丸になっています。 ちなみに右の二進数そろばんに置かれた数字は10進数の"112"です。2進数では"01110000"となり、16進数では"70"になります。 ● 材料:かまぼこ板1枚、つまようじ10本、鉛筆1本 ● 工具:のこぎり、カッター、六角レンチ(芯を抜いた後の鉛筆の穴を広げる)、紙やすり(バリ取り)、木工用ボンド ● その他:イジェクトピンまたは太目のクリップ1本(鉛筆の芯を押し出す)、輪ゴム2~3本(枠を木工用ボンドで接着したあと固定する) 【枠(わく)】 材料:かまぼこ板 あらかじめ、鉛筆で板の短辺方向に9本(10mm間隔)線を引き、その線に沿って軸を固定する溝を8本(深さ2.5mm程度)をノコギリで切っておきます。板の残った部分を短辺方向に10mm×50mm(2本)切り取ったら、今度は板の長辺方向に10mm×90mm(2本)切り取ります。 【軸(じく)】 材料:つまようじ 軸に8本、ボンド塗付用と予備に2本 【珠(たま)】 材料:鉛筆 カッターで8mmの長さのものを8個切断し、30分ほど石鹸水に浸したら、イジェクトピンまたは伸ばしたクリップで芯を押し出して抜きます。 ※珠を軸に通したら滑らかに動くように穴を広げてください。それぞれのパーツが出来上がったら、あとは各パーツをボンドで固定するだけです。 自由研究のテーマとして作る方のために、ここではあえて詳しい作り方の説明はしません。ご自身で作ってみて、工夫したところ、難しかったところをレポートにまとめましょう。 二進数についてもっと詳しく知りたい方は下記リンクを参考にしてください。 ●二進法(にしんほう)ってな~に? |
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